長いものには巻かれろとは?

 江戸時代、日照りや蝗害などによる度重なる飢饉に人々は苦しめられた。 そこで稲よりも育成しやすい、甘藷(サツマイモ)や馬鈴薯(ジャガイモ)の栽培が始まった。 特に甘藷は八代将軍・徳川吉宗の号令で、幕府からも栽培が推奨された。 また、芋は痩せた土地で収穫できるだけでなく、丸い形状からカゴなどによる運搬も容易だった。 農家の人々は背中のカゴいっぱいに芋を詰めて、行商をしたと伝わっている。
 けれども平地の町村に比べ、山村ではもともと長芋の方が沢山収穫できた。 長芋はトロロなどの料理に使われ、平地の町村でも人気だったのである。 山村の人々はカゴをしょって山を降り、平地まで長芋を売りに行っていた。 しかし長芋はその形状が甘藷や馬鈴薯と違うため、カゴに沢山入れることが出来ない。 長芋は長ければ長いほど高値になるため折るわけにもいかず、 どうにか大量に運ぶことが出来ないものかと頭をひねっていた。
 ある時、平地へ降りた行商人は、とある農家のひさしで日干ししてある大根を見て思いついた。
「わざわざカゴに無理に詰め込まなくても、紐で巻くようにすれば沢山の量が運ぶことが出来る。」
これ以降、長芋の荷はカゴではなく、紐で巻かれた荷姿になったという。
 そして山村の人々へ「長芋の荷は巻かれろ」と言い伝わるようになった。

 このことから無理をせずに従ったほうが良いと言うことを、「長いものには巻かれろ」と言うようになった。


民明書房刊『芋のいい話〜POTATO TIPS』より
初版発行2005年5月22日


<|タイトルへ戻る ≪|トップへ戻る