覆水盆にかえらずとは?

 中国の殷王朝の頃、長安は商業都市として栄えていた。 そのため田舎から出稼ぎに来ている者も多く、 覆水(ふくすい)もその一人であった。
 この頃からの風習として、こういった田舎から出稼ぎをしている者は、 先祖の墓参りをするために夏の盆の時期に一時帰郷していた。
 ある年の盆のことである。覆水は仕事が忙しく、帰郷する暇が作れなかった。 しかし当時、彼の両親は病で床に伏していて、盆に帰って来る息子の顔を楽しみにしていたという。 そして息子が帰ってこないことが分かると力尽き、盆の間に息を引き取ってしまった。 覆水は親の死に目に立ち会えず、盆に帰れなかったことを悔やんで仕方なかったという。

 この故事から、取り返しのつかないことを「覆水盆にかえらず」というようになった。


民明書房刊『武道達人逸話集』より
初版発行2000年10月30日


<|タイトルへ戻る ≪|トップへ戻る